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  • 【物流の2024年問題】運送代を不当減額、公正取引委員会が立ち入り検査

    物流の2024年問題

    運送事業者に適正な代金を支払っていなかったとされる問題で、独占禁止法の「物流特殊指定」に違反した疑いで事業者に対して、公正取引委員会が11日、立ち入り検査を行いました。支払う委託代金の不当な減額や、ドライバーに対して業務量に見合った代金が支払われていなかった等の疑いがあります。

    「物流特殊指定」とは

    「物流特殊指定」とは、荷主と物流事業者の取引における優越的地位の濫用を効果的に規制するために、公正取引委員会が2004年4月に制定した独占禁止法上の告示です。
    今回、「物流特殊指定」に該当するとして、立ち入りを行うのは初めてのケースになります。

    立ち入り検査の背景

    立ち入り検査を実施した背景には、トラック運転手の時間外労働の上限規制による「物流2024年問題」の深刻化があります。2024年4月より、自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制が適用され、トラックドライバーの時間外労働が年間960時間に制限され人手不足が加速することが懸念されています。この規制により30年度には、全国の荷物の36%を運べなくなる可能性があるとみられています。
    運送会社への不当減額は人手不足の「2024年問題」を助長しかねない問題です。

    物流業界が抱える問題

    物流業界は、小規模事業者が多いという特徴から、多重下請け構造が根強く残っています。この構造は、荷主が優位な立場に置かれ、運送会社は競争激化の影響を受け、不当な取引を強いられるケースが少なくありません。運送会社は、コストに見合わない代金で業務を請け負ったり、運転以外の作業によって拘束時間が長くなったりするケースが多くなっています。
    これらの問題は、物流業界全体の健全な発展を阻害し、ドライバーの働き方改革や持続可能な物流環境の実現を困難なものにしています。

    今回の立ち入り検査は、荷主と物流事業者との取引における適正な競争環境の維持に向けた、公正取引委員会の取り組みです。物流業界における不当な委託代金の減額は、2024年問題を悪化させるだけでなく、物流全体の崩壊を招きかねない重大な問題です。
    公正取引委員会は、不当な委託代金の減額に対する審査の厳格化と並行し、法改正も検討していくとしています。