日本における障害者雇用に関する法制度、および今後の法改正による影響について、2026年時点の法令・公表されている決定事項に基づき、解説します。
障害者を雇用しなければならない企業の条件(現行と今後)
法律(障害者雇用促進法)により、民間企業には常時雇用する労働者の数に対して、一定割合(法定雇用率)以上の障害者を雇用する義務があります。
この義務が発生する企業の条件(従業員数)は、「法定雇用率」が引き上げられることに連動して、段階的に引き下げ(対象企業の拡大)となっています。
- ・2024年3月まで
法定雇用率:2.3%
対象となる企業:従業員 43.5名以上 - ・2024年4月 ~ 2026年6月
法定雇用率:2.5%
対象となる企業:従業員 40.0名以上 - ・2026年7月以降
法定雇用率:2.7%
対象となる企業:従業員 37.5名以上
したがって、「何名以上従業員がいる企業か」という条件は、2026年7月以降は「従業員37.5名以上」の企業となります。
2.5%から2.7%への変更による企業への具体的な影響
厚生労働省および労働局より示されている、制度変更による企業への主な実務的・金銭的影響は以下の3点です。
① 雇用義務が発生する対象企業の拡大(従業員37.5名以上の企業)
これまで義務の対象外であった、従業員数が37.5名以上40.0名未満の中小企業に対しても、新たに障害者を「最低1名以上」雇用する法的義務が発生します。
② すでに義務化されている企業での必要雇用人数の増加
現在すでに障害者を雇用している企業であっても、算出基礎となる率が2.5%から2.7%に上がるため、従業員数によってはさらに追加で1名以上の障害者を雇用しなければならない状態が生じます。
③ 金銭的な負担金・調整金の変動(納付金制度)
常用労働者数が100名を超える企業において、法定雇用率が未達成である場合、不足している障害者1名につき月額50,000円の「障害者雇用納付金」を国(高齢・障害・求職者雇用支援機構)に納付しなければなりません。
逆に、法定雇用率を超えて多く雇用している企業には「障害者雇用調整金(超えた人数1名につき月額29,000円、※一定数以上は23,000円)」が支給されます。
率が2.7%に上がることにより、未達成の企業は「不足人数が増えることによる納付金負担の増加」、達成している企業は「調整金支給額の減少(または不支給化)」という金銭的影響を受けます。
その他、並行して実施されている関連制度の変更
2026年7月の雇用率引き上げと時期を合わせ、あるいは近年の改正として、企業の実務に影響を与える以下の算定ルールが導入・適用されています。
週所定労働時間が短い労働者の算定(2024年4月導入)
これまで雇用率のカウント対象外であった、週の労働時間が「10時間以上20時間未満」の重度身体・知的障害者、および精神障害者について、1名につき「0.5名」として雇用率にカウントできるようになっています。
障害者雇用に関する「除外率」の引き下げ(2025年4月実施)
トラック運送業や建設業など、職務の性質上、障害者の雇用が困難であると認められる特定の業種において、義務人数を減らすための「除外率」が適用されていましたが、これが一律10ポイント引き下げられており、該当業種の企業はより多くの障害者を雇用する義務を負っています。

