2026年(令和8年)10月から、働き方や社会保険にかかわる制度がいくつも変わります。厚生労働省が公表した「令和8年10月からの主な制度変更」のうち、従業員を雇う会社に関係の深い4つを整理しました。
1. カスハラ対策がすべての事業主の義務に
10月1日から、顧客や取引先からの著しい迷惑行為、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」を防ぐための対策が、会社の規模や業種を問わず義務になりました。求職者へのセクハラ防止措置も同時に義務化されました。
求められるのは、「カスハラには毅然と対応し従業員を守る」という方針を示して周知すること、相談窓口を設けること、悪質なケースへの対処方針を決めておくことなどです。9月30日には、厚労省が業種別の対策マニュアルを一覧にしたページを公表しています。
2. 同一労働同一賃金のガイドラインが改正
「同一労働同一賃金」とは、正社員とパート・有期雇用・派遣の人との間で、不合理な待遇差をなくすルールです。どんな待遇差が問題になるかを示したガイドライン(指針)に、賞与、退職手当、家族手当、住宅手当、夏季冬季休暇、病気休職などが新たに書き加えられました。
また、雇い入れるときなどに、「待遇差の内容や理由について説明を求めることができる」と本人に明示することが必要になります。手当や休暇の扱いが雇用形態で違う場合は、その理由を説明できるか確認しておきましょう。
3. 最低賃金が全国平均1,177円に
最低賃金は全国加重平均で1,177円となり、各都道府県で54〜65円上がります。10月1日以降、都道府県ごとに順次発効します。自社の地域の発効日を確認し、月給の人も時給に直して下回っていないかチェックしましょう。
4. パートの社会保険「106万円の壁」の賃金要件がなくなる
パート・アルバイトが社会保険(健康保険・厚生年金)に入るかどうかの基準のうち、「月額8.8万円(年収約106万円)以上」という賃金の要件がなくなりました。全国の最低賃金が1,016円以上となり、週20時間働けば月8.8万円を超えるようになったためです。対象は、パートの社会保険加入がすでに義務となっている会社(現在は従業員51人以上)で、50人以下の会社は2027年10月以降、段階的に対象となります。
あわせて「保険料調整制度」が始まりました。主な内容は次のとおりです。
- ・対象となる人:週20時間以上・月収13万円未満などの条件を満たすパート(学生を除く)
- ・内容:保険料の本人負担を通算3年間軽くする(3年目は軽くなる割合が半分になります)
- ・会社の負担:軽くした分は会社がいったん立て替えますが、あとで納める保険料から差し引かれるため、最終的な負担は増えません
- ・対象となる事業所:2026年10月以降に、労使の合意で自主的にパートを社会保険に入れた事業所は今すぐ対象となり、それ以外は2027年10月から規模に応じて順次対象となります(ここでの従業員数は厚生年金の加入者数で数えます)
まとめ
いずれも10月にスタートした、または順次スタートする制度です。まずは自社に関係するものを確認し、就業規則や雇用契約書、給与計算の設定を見直しましょう。判断に迷うときは、社会保険労務士や労働局に相談するのがおすすめです。
<引用:厚生労働省「令和8年10月からの主な制度変更」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76324.html>
<引用:日本年金機構「保険料調整制度」
https://www.nenkin.go.jp/tokusetsu/hokenryochosei.html>

