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  • 取引先からの暴言もカスハラに|10月義務化で経営者が知っておくべき定義と対応方針

    2026年(令和8年)10月1日から、改正労働施策総合推進法により、顧客や取引先からの著しい迷惑行為、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」への対策が、すべての事業主の義務になります。これに合わせて厚生労働省は9月8日、「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を法改正に沿って更新しました。何が義務になるのか、経営者が今から準備することを整理します。

    企業規模を問わず対象、取引先からの言動も含む

    パワハラ防止措置のときにあった中小企業への猶予期間は、今回はありません。10月1日から、規模や業種を問わずすべての事業主が対象です。

    カスハラとは、①顧客や取引先などの言動で、②業務の性質などから見て社会通念上許される範囲を超え、③従業員の働く環境が害されるもの、という3つをすべて満たす行為です。暴言や土下座の強要、居座り、不当な損害賠償の要求などが典型例で、電話やSNS上の言動も含まれます。「顧客等」には取引先の担当者も入るため、企業間取引が中心の会社も無関係ではありません。ただし、商品の不具合に対する正当な要求など、苦情のすべてが該当するわけではありません。

    事業主が必ず講じる措置

    指針(令和8年厚生労働省告示第51号)では、次の5つの柱・10項目が義務とされています。

    • 方針の明確化と周知:カスハラには毅然と対応し従業員を守るという方針を示し、周知します。「一人で対応させない」「犯罪に当たる場合は警察へ通報する」といった対処の内容もあらかじめ決めて知らせます。
    • 相談窓口の整備:窓口を決めて周知し、担当者が適切に対応できるようにします。
    • 事後の迅速な対応:事実確認、被害を受けた従業員への配慮、再発防止策を行います。
    • 悪質なケースへの対処方針:特に悪質な行為への対応方針(警告文の発出、販売・サービス提供の拒否、出入り禁止、警察への通報など)を定め、実行できる体制を作ります。
    • プライバシー保護と不利益取扱いの禁止:相談者の秘密を守り、相談を理由に不利益な扱いをしない旨を定めて周知します。

    自社が「加害側」にならないための責務も

    自社の従業員が取引先の従業員にカスハラを行わないよう、研修などで注意を促すことも事業主の責務とされました。他社から事実確認への協力を求められた場合は、応じるよう努める必要もあります。仕入先や外注先に強い口調で要求する場面がある会社は、社内ルールの見直しが必要です。

    罰則と準備の進め方

    違反しても直接の罰則はありませんが、労働局の助言・指導・勧告の対象となり、勧告に従わない場合は企業名が公表されることがあります。

    準備は、更新された企業マニュアルの基本方針の例文やチェックシート、厚労省のポータルサイト「あかるい職場応援団」の啓発ポスターを活用すると、ゼロから作らずに進められます。基本方針の文書化、就業規則への追記、相談窓口の指名と社内周知を、10月1日までにそろえておきましょう。

    <引用:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」(カスタマーハラスメント対策企業マニュアル・令和8年9月8日更新)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html

    <引用:厚生労働省 リーフレット(詳細版)「2026年(令和8年)10月1日から、カスタマーハラスメント対策、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されます!」
    https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662580.pdf

    <引用:厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和8年厚生労働省告示第51号)
    https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf