2026年9月3日、令和8年度の地域別最低賃金について、全47都道府県の答申が出そろいました。全国加重平均は前年度の1,121円から56円上がって1,177円となり、10月1日から順次発効します。翌9月4日には中小企業庁が、賃上げに取り組む中小企業向けの支援策を公表しました。改定内容と、経営者が確認したいこと、使える支援策を整理します。
全都道府県で54〜65円の引上げ、33府県が目安を上回る
引上げ額は54〜65円で、全国平均56円の上げ幅は、昭和53年度に目安制度が始まって以降で2番目の大きさです。最高額は東京の1,280円、最低額は宮崎の1,085円、引上げ額が最も大きかったのは佐賀の65円でした。国が示した目安を上回った府県は33にのぼります。
発効日は都道府県ごとに異なり、東京・大阪・愛知など15都道府県は10月1日、京都は11月16日、岩手・熊本は12月1日、沖縄は12月2日の予定です(異議申出の状況により変わる可能性があります)。
経営者がまず確認したい3つのこと
- ・自社の発効日:発効日以降に働いた分から新しい額が適用されます。労働局のサイトで確認しましょう。
- ・月給・日給の人も時給換算で確認:月給を月平均所定労働時間で割った額が新しい最低賃金を下回っていないか確かめます。パート・アルバイト・試用期間中の人も対象です。
- ・書類の更新:雇用契約書、就業規則の賃金規定、求人票の時給表記も発効日に合わせて直しましょう。
賃上げの負担を和らげる国の支援策
中小企業庁が9月4日に公表した支援策のうち、主なものを紹介します。
- ・業務改善助成金:事業場内で最も低い時給を50円以上引き上げ、あわせて生産性を高める設備投資などを行うと、費用の4分の3〜5分の4(最大600万円)が助成されます。申請期限は自社の地域の最低賃金発効日の前日(遅くとも11月30日)で、引上げは申請後に行う必要があります。10月1日発効の地域では9月30日が期限です。
- ・賃上げ促進税制:前年度より給与総額を1.5%以上増やすと増加額の15%、2.5%以上なら30%を法人税から差し引けます。控除しきれない分は5年間繰り越せます。
- ・補助金の優遇:省力化投資補助金やデジタル化・AI導入補助金などで、賃上げを行う企業への補助上限の引上げや加点措置が引き続き実施されます。
- ・低利融資:日本政策金融公庫の「賃上げ貸付利率特例制度」で、融資後2年間の利率が0.5%下がります。
このほか「賃上げ・最低賃金対応支援特設サイト」を開設し、年度末までに100万件を目標に商工会・商工会議所などを通じた相談対応を進めます。価格転嫁についても、今年1月施行の中小受託取引適正化法(取適法)の執行強化で後押しする方針です。
最低賃金の引上げは今後も続く見通しです。助成金や税制を使って生産性向上に投資する機会と捉え、早めに動きましょう。
<引用:厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75950.html>
<引用:中小企業庁(ミラサポplus)「最低賃金引上げに対応する中小企業・小規模事業者への支援策を公表します」
https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/33677/>
<引用:厚生労働省「業務改善助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html>
<引用:中小企業庁「中小企業向け『賃上げ促進税制』」
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai.html>
<引用:中小企業庁「賃上げ・最低賃金対応支援特設サイト」
https://mirasapo-plus.go.jp/chinage/>

